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温泉の入り口や脱衣所で、「単純温泉」「塩化物泉」などの言葉を見かけたことはありませんか。なんとなく読み流してしまいがちですが、実はこれが「泉質」と呼ばれる温泉の性格をあらわす名前なんです。環境省の指針で示されている療養泉の泉質をもとに、10種類の泉質名をやさしく整理してみますね。
この記事では、環境省「鉱泉分析法指針」で示されている療養泉の泉質の分類の療養泉の泉質名の一覧をもとに、温泉の泉質の種類(療養泉の10種類)について5つのポイントで整理します。後半の、温泉地や宿を選ぶときに泉質名を見るコツは、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点で環境省「鉱泉分析法指針」で示されている療養泉の泉質の分類に掲載されている内容をもとにしています。泉質の分類や名前のつけ方は、環境省の指針にもとづいています。体への作用や入り方は温泉ごとに違うので、現地に掲示されている温泉分析書や禁忌症・注意事項をよく確かめてください。この記事は、病気を治すことをすすめるものではありません。
この記事でわかることは、次のとおりです。
- 温泉の泉質 5つのポイント
- 温泉地や宿を選ぶときに泉質名を見るコツ
温泉の泉質とは?
温泉の成分による分類
泉質は、温泉に溶けている成分の種類や量によって分けられた、温泉の「タイプ」のようなものです。同じ温泉でも、源泉ごとに泉質が違うこともあります。
療養泉の泉質
環境省の「鉱泉分析法指針」では、温泉のうち、特に治療の目的に使われるものを「療養泉」として、泉質の分類を示しています。私たちがよく目にする泉質名は、この分類にもとづいています。
温泉分析書でわかる
泉質は、温泉施設に掲示されている「温泉分析書」で確かめられます。泉質名のほか、源泉の温度や成分の量なども書かれています。
| 見る場所 | わかること |
|---|---|
| 温泉分析書 | 泉質名、源泉の温度、成分 |
| 掲示の注意事項 | 入浴の注意、禁忌症 |
| 宿や施設の案内 | 源泉の種類、かけ流しかどうか |
温泉の泉質 5つのポイント
1. 療養泉は10種類
環境省の指針では、療養泉の泉質は、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉の10種類に分けられています。
2. 単純温泉は成分が少なめ
単純温泉は、溶けている成分(溶存物質)が温泉水1kg中1,000mg未満で、源泉の温度が25℃以上の温泉です。「単純」という名前ですが、成分が少ないぶん、やわらかな入り心地と言われることがあります。
3. 塩類泉は3つ
塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉は、溶けている成分の中で多い陰イオンの種類によって名前がつけられています。温泉の入り口でよく見かける泉質名です。
4. 特定の成分で名前がつく
二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉は、特定の成分を一定量以上ふくむことから名前がつけられた泉質です。
5. 泉質名は長くなることも
実際の温泉分析書では、「ナトリウム-塩化物泉」のように、主な成分の名前を並べた長い泉質名が書かれることもあります。10種類の基本の名前を知っておくと、読み解きやすくなります。
5つのポイント早見表
| ポイント | 環境省「鉱泉分析法指針」で示されている療養泉の泉質の分類の案内 |
|---|---|
| 療養泉は10種類 | 10種類の泉質 |
| 単純温泉は成分が少なめ | 成分が少なめの温泉 |
| 塩類泉は3つ | 塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩 |
| 特定の成分で名前がつく | 特定の成分による泉質 |
| 泉質名は長くなることも | 長い泉質名の読み方 |
10種類の泉質一覧
単純温泉
成分の量は少なめで、源泉の温度が25℃以上の温泉です。日本の温泉地でよく見られる泉質のひとつです。
塩化物泉
塩化物イオンを主な成分とする温泉です。なめるとしょっぱく感じるものもあると言われます。
炭酸水素塩泉
炭酸水素イオンを主な成分とする温泉です。
硫酸塩泉
硫酸イオンを主な成分とする温泉です。
二酸化炭素泉
二酸化炭素(炭酸ガス)を一定量以上ふくむ温泉です。肌に小さな泡がつくことがあると紹介されることもあります。
含鉄泉
鉄を一定量以上ふくむ温泉です。空気にふれると色が変わることがあると言われます。
酸性泉
水素イオンを一定量以上ふくむ、酸性の温泉です。
含よう素泉
よう化物イオンを温泉水1kg中10mg以上ふくむ温泉です。平成26年の指針の改訂で、新しく加えられた泉質として知られています。
硫黄泉
硫黄を一定量以上ふくむ温泉です。独特のにおいで知られる温泉もあります。
放射能泉
ラドンなどを一定量以上ふくむ温泉です。
| 泉質 | 名前の目安 |
|---|---|
| 単純温泉 | 成分が少なめで25℃以上 |
| 塩化物泉 | 塩化物イオンが主 |
| 炭酸水素塩泉 | 炭酸水素イオンが主 |
| 硫酸塩泉 | 硫酸イオンが主 |
| 二酸化炭素泉 | 二酸化炭素をふくむ |
| 含鉄泉 | 鉄をふくむ |
| 酸性泉 | 水素イオンをふくむ |
| 含よう素泉 | よう素をふくむ |
| 硫黄泉 | 硫黄をふくむ |
| 放射能泉 | ラドンなどをふくむ |
泉質名の読み方のコツ
最初に陽イオン
「ナトリウム-塩化物泉」のように、最初に陽イオン、次に陰イオンが書かれることが多いです。ナトリウムやカルシウムなどの名前が先に来ます。
複数の成分が並ぶことも
「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉」のように、いくつもの成分が並ぶこともあります。主な成分が複数ある、という意味です。
「低張性」などの言葉
温泉分析書には、「低張性」「弱アルカリ性」「高温泉」などの言葉も書かれていることがあります。これは、浸透圧やpH、温度による分類です。
泉質を見るときの注意
同じ温泉地でも違う
ひとつの温泉地に、泉質の違う源泉がいくつもあることがあります。宿ごとに使っている源泉が違うこともあるので、気になる人は宿の案内を見てみてください。
作用には個人差がある
泉質によって、入ったときの感じ方が違うと言われますが、体への作用には個人差があります。体調に不安がある人は、医師に相談してから入浴しましょう。
注意事項を確かめる
温泉には、入浴を控えたほうがよい場合などの注意事項が掲示されています。入る前に、よく確かめてください。
金属の変色
硫黄泉などでは、指輪やアクセサリーが変色することがあると言われます。外してから入ると安心です。
温泉地や宿を選ぶときに泉質名を見るコツ
ここからは、環境省「鉱泉分析法指針」で示されている療養泉の泉質の分類の案内をもとにした、この記事の提案です。
行きたい泉質を決める
にごり湯に入ってみたい、においの少ないお湯がいいなど、好みに合わせて泉質を選ぶのもひとつの楽しみ方です。
宿の公式サイトを見る
多くの宿では、公式サイトで泉質を紹介しています。予約の前に確かめておくと、イメージどおりのお湯に出会いやすくなります。
泉質めぐりを楽しむ
10種類の泉質を少しずつめぐってみるのも、温泉好きならではの楽しみ方です。入った温泉の泉質を手帳に書き残しておくと、思い出にもなります。
無理のない入り方で
どんな泉質でも、長湯や熱すぎるお湯は体に負担がかかることがあります。水分をとりながら、自分のペースで楽しんでくださいね。
温泉と療養泉の違い
温泉法の温泉
環境省の案内では、温泉法でいう温泉は、地中からわき出す温水や鉱水、水蒸気などのうち、温度が25℃以上か、決められた物質のどれかを一定量以上ふくむものとされています。
療養泉はその中の一部
療養泉は、温泉の中でも、特に治療の目的に使われるものとして、指針で条件が示されています。泉質名がつけられるのは、この療養泉にあたる温泉です。
泉質名がない温泉も
温泉法の温泉にはあたっても、療養泉の条件を満たさない温泉もあります。その場合、温泉分析書には泉質名ではなく、別の書き方がされていることがあります。
泉質のほかに見ておきたいこと
源泉の温度
温泉分析書には、源泉の温度も書かれています。源泉の温度が低い場合は加温していることもあり、高い場合は加水などで温度を調整していることもあります。
加水・加温・循環
浴槽のお湯について、加水や加温、循環ろ過をしているかどうかの掲示がされている施設もあります。お湯の使い方を知りたい人は、掲示を見てみてください。
pHの表示
温泉分析書のpHの値を見ると、酸性かアルカリ性かがわかります。肌ざわりの好みで選ぶときの参考にする人もいます。
分析年月日
温泉分析書には分析した年月日が書かれています。どの時点の分析なのかも、あわせて見ておくと安心です。
よくある質問
泉質は何種類ある?
環境省の指針では、療養泉の泉質は10種類に分けられています。
単純温泉はどんな温泉?
溶けている成分が一定より少なく、源泉の温度が25℃以上の温泉です。
泉質はどこで確かめられる?
温泉施設に掲示されている温泉分析書で確かめられます。
長い泉質名はどう読む?
多くの場合、最初に陽イオン、次に陰イオンの名前が並び、最後に泉質名が書かれています。
泉質で効果は決まる?
泉質によって感じ方は違うと言われますが、作用には個人差があります。体調が気になる人は医師に相談してください。
においの強い温泉はどの泉質?
硫黄泉は独特のにおいで知られることがありますが、においの感じ方は温泉によって違います。
自宅のお風呂で泉質を楽しめる?
温泉の雰囲気を楽しめる入浴剤もありますが、温泉そのものとは違います。気分転換として楽しむのがおすすめです。
含よう素泉はいつから泉質名になった?
平成26年に改訂された環境省の鉱泉分析法指針で、新しく加えられた泉質として知られています。
温泉と療養泉は同じ?
療養泉は、温泉の中でも指針で示された条件を満たすものです。温泉法の温泉すべてが療養泉にあたるわけではありません。
泉質名と温泉分析書の日付は関係ある?
温泉の成分は年月とともに変わることもあるため、分析年月日もあわせて見ておくと安心です。
子どもと一緒に入るときに気をつけることは?
熱いお湯や長湯は子どもの体に負担がかかりやすいので、短めの時間で、こまめに水分をとりながら楽しんでください。
療養泉の泉質は10種類、名前を知ると温泉めぐりがもっと楽しく
環境省の指針では、療養泉の泉質は単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉の10種類に分けられています。温泉分析書で泉質名を見て、入る前には注意事項も確かめながら、いろいろなお湯を楽しんでみてくださいね。